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レッドライン

第1章 レッドライン


赤の線。


赤い線。


横一線。


苦しい度増える私の証。


肌を裂くほどの痛みなんて知らなかった。


知らなくて良い。


知ったって得にはならない。


得にはならないけど。


心の拠り所にはなった。


たった一時だけの癒しのために。


裂け目から綺麗な赤い玉ができて。


やがてそれは赤い線になる。


溢れて耐えられなくなった線は私の肌を伝う。


それはまるで赤いリボンのように。


私の肌を這って、指先で垂れる。


それがなんだか綺麗で。


ほんの少しの間の快感と高ぶる気持ち。


たったそれだけのために剃刀を握っていた。


いつの間にか私の腕には。


違った形で赤い線がボコボコと浮かび上がっていて。


こんなの美しくないと。


涙が溢れて。


美しくない。


美しくない。


そう思いながら剃刀を深く。


深く。


バカがよく、流れる血が綺麗だ。


なんていうけれど。


私もそう思っていた。


でももうそんな馬鹿げたこと思わない。


残るのは醜くくなった赤い線と虚しさだけなんだもの。
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