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夜のデート

第1章 夜のデート

ヒロとわたしで、夜の学校をこっそり歩く。
みんなはもう帰ってる時間。
夜の10時。
電気の消えた校舎で夜のデート。
最初はヒロが誘ってくれて、2回めからはわたしがずっと誘っている。
週末の行きあきたデートコースよりも、わたしはこのデートが刺激的で好きだった。
最初は先生に見つかって怒られないか、と思っていたけれど、それは校舎に入るまでの。
ヒロと一緒に校舎の中に入ると、今まで見てきたものとは違う非日常感がそこにはあった。
それにすこし興奮を覚える。
購買の隣にある販売機でジュースを買って、2人でそれを片手に校舎の中を歩きまわる。
誰もいない教室、がらんとした体育館、静まり返ったプール、広い音楽ホールにぽつんと取り残されたピアノ。
普段利用しているけれど、人気のないくらい場所は、なにか特別な気分がして、その感覚がわたしは好きだった。
なにか特別な、新しい刺激。
そんな中で、ヒロとわたしはいろんなことを語り合った。
将来の夢、行きたい大学。
普段のデートじゃ話さないことをいっぱい話して。
ヒロがわたしを本当に好きで、いっぱいいろいろなことを考えてくれているって、分かったデート。
暗くて広い体育館で、ぎゅっと寄り添ってヒロに甘えた。
ヒロからもらう愛は、うれしかった。

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