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第1章 髪



私は髪を伸ばしていました。


つい2年ほど前ですわ。


つい2年ほど前、ある人に愛の告白をいたしました。


そのお方は私の髪が好みではないと。


長い髪が好きだと。


そうおっしゃいました。


そのお方のために髪を伸ばしていました。


つい2年ほど前から、私の時間は止まったまま… 。


つい2年ほど前からの思い出が、私髪に詰まっていました。


しかし、伸ばしていても意味が無い…と。


私は気が付きました。


そのお方は結婚していらっしゃいました。


ええ。


初恋でしたのよ。


ですから、その時の私は悲しくてその髪を切り落としてしまいました。


その髪は自分で思った以上に綺麗な髪でしたわ。


今ではこの短い髪もお気に入りですの。


だって私はちゃんと綺麗なんですもの。


気を落とす必要なんて、無かったのです。
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