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深紅色の美しく艶やかな唇は溷濁の溜め息を吐き出す。
第1章 深紅色の美しく艶やかな唇は溷濁の溜め息を吐き出す。
鬱蒼とした森の中
迷い込んでしまった
道はぐねぐね
いき、止まり。
深々とした緑の中
周りは木々ばかりで
此れ見よがしに落ちていた
其の深紅色
嗚呼、美しい
物憂げな表情で私を見るその目
余りにも魅入るその目
恐怖を覚えるほどの美しさ
白い陶器のようなしなやかな肌
黒く長い綺麗な髪
琥珀のような瞳
君が居れば私は
この森の中で死んでも、寂しくないね
君の唇にそっと口付けて
私はそっと目を閉じた
父も母も迎えには来ない
森の中に閉じ込められて
人形を抱いて眠ってしまいましょう
明日になればきっと
楽になって居るはずだわ
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