histoire d'amour eternel
第28章 紫丁香花
――――――でもね?
「おばあちゃんになる前にはドレス、着たい…かな?」
「あ、やっぱ?」
「うん、着たい」
「じゃぁ、少し時期を早めるように努力するよ」
「宜しくお願いします」
「かしこまりました」
色気があるのか、ないのか。
内容はプロポーズネタの癖に、全然それらしくない雰囲気と会話。
だけど、それが君と私らしくて、何だか逆に嬉しさが増す。
嬉しさが増すと、想いも増し
「大好きっ」
何度でも伝えたくなる想いを君へ言葉にすれば
「知ってる。
俺の好きだから」
なんて、どこか上から目線的な言葉が返ってくるのも、居心地が良く感じる瞬間。
君が私の頬に優しく触れ、君の瞳に映り込む自分の顔が段々近くなると同時に
そっと瞳を綴じれば、重なる君と私の唇。
その瞬間
ざわざわと、まるで私と彼を祝福するかのように優しい春の音。
紫と白の紫丁香花が優しく微笑むように
揺ら揺らと、綺麗に揺れ咲いた。
*END*