
I'll protect you.
第21章 初恋の人
「藤宮…優?
名前…優って言うの?」
シン君は目を大きくして私をじっと見てくる
『うん、それがどうしたの?』
私は怪しまれないようにそう答えた
私がユウじゃないかのように…
「いや、俺がずっと探してる女の子と
同じ名前だったから…」
シン君は遠くを見ながら続けた
「その子は、突然いなくなったんだ…
仲良かった俺らに何も言わずにね…
きっと、ユウも大変で俺らに気を使ったんだと思う。
ガキだった俺らにはユウを助けることはできなかっただろうけど…
それでも…話して欲しかった。
だから、涼太の気持ち痛いほどわかるんだ」
そう言って私の頭をポンポンと撫でるシン君
昔もこうやって私を安心させてくれたよね…
忘れかけていたシン君のぬくもり
その優しさを私は踏みにじったんだ
シン君
カナ
コウキ君
自分勝手でごめんなさい…
シン君の10年越しの気持ちを知って涙が溢れた
