
I'll protect you.
第22章 ユウと優
『もぉ〜!!みんな歌わないの!?』
「いや、俺ら歌うたいに来たわけじゃないんで」
カナが右手を軽く上げて言った。
だけど、そんな理由で納得するマナちゃんではなくて、
『せっかくの2時間なのに勿体無いよ!!』
そう言って勝手に曲をピッピッと入れていく
『心くんも歌いなよ!』
マナちゃんはシンにマイクを差し出すけど
シンはそれを受け取らずテーブルに置いた
「俺さ、本当に遊びに来たわけじゃないんだ。
今だって、あいつは辛い思いをしてるかもしれないんだよ。
それなのに、歌なんて歌ってられるかよ…」
シンの手には力が入っていて、拳を作る手がわずかに震えていた
今日、一切なにも言わなかったカナも困ったように眉を曲げていた
《俺らだけ楽しくたって意味が無い
四人でいなきゃ》
俺達は、言葉にしなくても
同じ気持ちのはずだ
「もう、いいだろ…
話してくれよ…」
ユウは辛いに決まってる
少しでも早く助けたい
こんな遊んでる暇はないんだ
