I'll protect you.
第25章 戻ってきた時間
私の背中に温かさが伝わる。
真上から聞こえてきた低い声に反応して上を見上げると、そこにいたのは
「ユウが購買にいるなんて珍しいね。
どうしたの?」
『お弁当作るの忘れたんだー…
シン君こそ…購買でいつもパン買ってるの?』
シン君は私を追い抜かして自分のコーヒーとりんごジュースを買った。
「うん。俺らが弁当作れるわけがねぇだろ。
はい、これ。りんごジュース好きだったろ?」
そう言ってシン君は私にりんごジュースを手渡した。
『ありがとう…。』
私が小さい時、りんごジュースが好きだって言ったの覚えててくれたんだ…
ただ、それだけのことなのに私の胸は破裂しそうなくらいバクバクだった。
「パンも買えなかったんだろ?
俺のパン1個やるよ。」
そう言ってシン君は自分が持っていたパンを私の頭の上に置いてさっさと歩いて行ってしまった。
『えっ…ちょっとシン君!?』
軽く手を振ってそのまま歩いて行ってしまったシン君を呆然と見つめる。
昨日も奢ってもらったのに、パンとジュースまで…
そんなこと考えて立ち尽くしていると楓が私の襟を掴んだ。
『カナちゃんに続いて心様まで…
本当にあんたどうなってんの…』
もう、逃げても仕方ない…
『実は…』
_________
__________________
_____________________________