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I'll protect you.

第27章 過去





『…ちがっ…!これは…』



見られたくない




嫉妬の涙なんて見られたくない




顔を背けようとすると、カナは両手で私の顔を固定した



カナの目がしっかり私をとらえていて動けない。




『…いで……』





「ユウ?」








『…見ないで……っ!』








涙で視界がゆらゆらと揺れてカナの表情が見えない。




すると、私の腕が勢い良く引っ張られた。



その瞬間、カナの匂いに包まれる。








「泣くな……ユウ…」







耳元から聞こえるカナの少しだけ掠れた声




力強い腕と、細いけど引き締まった体





それだけで、身体中が熱くなる。





カナは優しいお兄ちゃん。




それは今でも変わらない。




これからも、変わらないよね…?




なのに、なんでカナは私を抱き締めてるの…?




ねぇ…カナ……





すると、カナは私から体を離して涙でぐちゃくちゃになった顔を袖で優しく拭った。



いつものカナ。



大好きなお兄ちゃん。



カナは私の手を取って、立たせた。




「ユウとアイス買ってくるわー」




「俺、カナのオススメでよろしくー」




「俺のも頼んだ!!」




「うぃーす」






カナはそう言って私の手を引いて家を出た。








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