
I'll protect you.
第31章 近い⇔遠い
その声に私と楓は勢い良くドアの方を見て立ち上がった
やっと会えた……
……って…誰?
楓は涙目になりながらシン君に駆け寄った
そんな楓とシン君を茶化すように周りが騒ぎ立てる
そうだよね……
噂の二人だもんね
『心くん、今までどうしてたの…!?
それにどうしたのその髪……』
シン君は楓に会いに来たんだ
私は自分の席に座ろうと椅子を引いた
────その時……
「お前に用があるんじゃない。
告白は断ったはずだ。
彼女面ならやめてくれ」
いつもより低くて刺のある声が一瞬で教室の空気を凍らせた
その言葉に振り向くと、シン君と視線が絡み合った
すると、シン君は私が大好きな笑顔を見せた
楓を横切って私に一歩ずつ歩み寄ってくるシン君に、
私も体が勝手にシン君の方へと動いてしまう
「ユウ」
その声と同時に私の体がシン君に包まれた
