I'll protect you.
第33章 10年越しの想い
俺の少し後ろに立ちすくむカナ
「……やっと言ってくれたな」
俯いていたカナがゆっくりと顔を上げて、ふっと軽く笑ってみせた
「人を好きになることは
時に他の誰かを傷付ける。
傷付かない恋なんてねーんだよ」
カナは俺と肩を並べて立ち止まると、俺の肩を二、三度叩いた
「俺はユウが好きだった。
それは今でも変わらない。
でもな、俺はユウのたった一人の兄ちゃんなんだ。
妹の幸せを願わない兄はいねーよ。
ユウのこと
よろしくお願いします」
そう言って、頭を下げるカナの目にはうっすら涙が溜まっているのがわかった
カナのユウへの想いが言わずとも、光に照らされてキラキラと光る涙から伝わる
でも、納得はいかない
「カナはそれでいいのか?
奏斗としてではなく
あくまでもカナのままでいるつもりか?」
自分の気持ちを押し殺してでも
兄でいるのか……?
「ユウを好きだからこそ
ずっと傍にいられる選択をしたんだ
俺はユウの居場所だから。
……これが俺の愛し方だ
後悔はしてない」
そう言ったカナは普段の可愛い顔からは想像もつかないくらい男の顔をしていた