
I'll protect you.
第36章 犠牲
教室へ戻ると、俺らを軽蔑したような目で見てくるクラスメイト。
昨日までめちゃくちゃ話しかけてきたのになー……
なんて思いながらシンの席で外の景色を眺める。
外から見えるグラウンド
体育が終わった生徒達が続々と中へと入っていく中、一人制服のままグラウンドへ向かっていく後ろ姿
「おい、奏斗くーん。
なーに見てんのー?」
シンの前の席の涼太が俺に一生懸命話しかけてくるも、すべて無視。
涼太も俺が見てる方向が気になったのか、窓から身を乗り出しながら目を細めた。
俺、視力あんまよくねーのかな……
「なぁ、涼太。
俺には女の子がサッカー部の部室に向かっているようにしか見えないんだけど……
しかも、その女の子が俺には
楓に見えるんだけど……」
すると、涼太はこちらにゆっくり顔を向けて目を見開いた。
「俺にも、あれは楓に見えるんだけど……」
俺達はそのまま、楓らしき人を目で追った。
その楓らしき人はサッカー部の扉に手をかけて周りを注意深く見てから中へと入った。
「「ハァ!?」」
