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ショートラブストーリー

第7章 高橋②

「真由美ちゃん!?どうした!?」

暫く聞き取れない物音がして…と、突然

「もしもし?高橋さん?ごめんなさい」

「何?何かあった!?」

「ううん、大丈夫。あの…虫。虫がいてびっくりしちゃって…」

「何だ、良かった…でも大丈夫?」

「うん、窓開けたら逃げていったから」

真由美ちゃんの口調で、ほんとに大丈夫なのが分かる。

「じゃあ、あんまり話してると高橋さん遅くなっちゃうから切るね」

俺は全然平気なんだけどな。

「…声聞いたら会いたくなった」

「高橋さん…」

「行ってもいい?」

「え…あ、あの…今日は…ごめんなさい。ダメ、です…」

消え入りそうな小さい声で拒絶されて、俺はくすりと笑みをこぼした。

「ごめん。気にしないで。また時間あったら店に寄ってよ」

「うん。明日は行ける…と思います」

「無理しないでいいから。じゃあ、おやすみ」

「はい。おやすみなさい」

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