テキストサイズ

ショートラブストーリー

第1章 真由美

高橋さんは荒く息をつくあたしをぎゅっと抱きしめて、優しく髪を撫でて触れるだけのキスをくれた。

とろけそうな感覚がまだ抜けきらない。

ぼんやりと高橋さんを見つめると

「その顔反則」

ボソッと呟き、カウンターからティッシュを取ってきてあたしの横に置いた。

「…?」

「俺、あっち行ってるから…服、直して」

「え…あっ!!」

慌てて腕で胸を隠していると、高橋さんは厨房の中に入っていき、あたしはフロアに一人になった。

高橋さん、どうしたんだろう…。あたし、何かしたのかな…?

ブラを止め直してカットソー下ろして。ショーツを履こうとして、ティッシュを置いてった意味が分かった。

あ…これは目の前にいたら恥ずかしいかも…。

高橋さんの優しさに感謝しつつ、身なりを整えて。

赤くなった頬に手を当てて冷ましてると、奥から高橋さんが顔を出した。

「大丈夫?落ち着いた?」

「は、はい。ありがとうございます」

「どういたしまして…ってのも変か」

お互いに照れ笑いを浮かべ、沈黙が生まれる。

えっと、どうしたらいいんだろ。

所在ない感じでモジモジしてると、

「遅くなっちゃったし…送るよ」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ