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ショートラブストーリー

第8章 美帆(みほ)①

「課長、どうぞ」

今日は営業部の慰労会が開かれてる。

くじ引きで席順が決められてて、課長と離れた席になったものの。

時間がたって、皆が席を異動し出して…課長の隣が空くのをずっと待ってたんだ。

課長にビールを注ごうとして…

「あ…日本酒ですか?」

課長がお猪口を持ってるのに気付いた。

「最近肌寒いからな。こんな時は熱燗がいいんだ」

熱燗って何だかおじさんのイメージなんだけど…課長が飲んでると格好よく見えちゃう。

「へぇ…。熱燗って飲んだことないです。美味しいですか?」

「飲んでみるか?」

「え…っ!?」

あたしの問いに、課長はくいっとお猪口を空にすると、あたしに差し出した。

注いでくれる、んですか?

…課長が飲んでたお猪口に…?

で、これを飲め、と!?

間接キスとか…気にするのって無粋なんだろうけど…あぁ、もう!!

思いきってお猪口に口を付けた。

「あ…。思ったより甘いんですね」

「ん?案外いける口か?」

「課長に注いでもらったからかも」

でもドキドキしすぎて美味しいかどうかよく分からない。

課長の横でお酌して…何か幸せすぎる!!

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