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ショートラブストーリー

第8章 美帆(みほ)①

連れていかれた店は居酒屋だった。

「何か飲みたい気分なんだよ。ほら、行くぞ」

どこの俺様なんだっつーの!!

仕方なくお店に連れ込まれて…



「それでね、出来上がった資料届けたら…」

あたしはグレープフルーツサワーを飲んで、上機嫌で話し出した。

「課長が、北方さんの作る資料は分かりやすくて助かりますって!!めちゃ褒められたんですよ!!」

「あー、はいはい」

カウンター席。あたしの横で煩そうに顔をしかめてる倉田さんに、ふふんと笑って見せた。

「あたしだって、やれば出来るんです!!」

「そうかよ。良かったな」

倉田さんの言葉に、思わず顔を見た。

「何だよ!?」

「意外な言葉を聞いた…」

「俺だって正当な評価はしてやるさ。確かにお前の作った資料、対比をグラフ化してるから分かりやすい」

へぇ…。そういうの、見てるんだ。

「お前さ、課長のどこが好きなんだよ」

「全部」

「即答してそれかよ!?」

「だって全部だもん。顔も声も性格も仕草も頭いいとこも全部好き」

「はぁ…イカれてんな」

「ダメですか?」

頬杖ついて倉田さんを見上げると、指先で頭を小突かれた。

「いたっ…!!何ですか!?もう!!」

「そんな顔するからだ」

にやにや笑いながら言われて、あたしは口を尖らせた。

「倉田さん、ワケわかんない」

「そうかよ。…せっかく協力してやろうと思ったのに」

「協力?」

小首を傾げたあたしに、倉田さんは笑みを浮かべた。


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