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ショートラブストーリー

第11章 美帆③

「平谷課長の益々のご活躍と、稗田新課長の昇進を祝しまして、乾杯~!!」

あちらこちらでグラスを合わせる音が奏でられた。

あたしは比呂子さんの隣に座って、課長の様子を伺った。

何だか、久しぶりに顔を見た気がする。

毎日見かけてたから、気のせいでしかないって分かってるけど…。

ても、来週からは気のせいじゃなくなっちゃうんだよね。

……あぁ、駄目だ。

気分が沈みかけたあたしに、比呂子さんが

「美帆ちゃん。二人にあいさつ行こう」

と誘ってくれた。

上座に座る課長たちの前に行って、

「平谷課長。お疲れ様でした!!」

明るい声と笑顔になるように心がけて話しかける。

比呂子さんがビールを注いで、

「向こうでも頑張ってくださいね~」

と声をかけた。

「ありがとう。ま、やれるだけやってみるさ」

「平谷さん、向こう行っても『課長』なの?」

「それが次長補佐だと。躍進だよなぁ」

並んで座っていた稗田課長が比呂子さんに答える。

「えー!!凄い!!」

「期待の星だな」

「そんな持ち上げないで下さい」

苦笑い浮かべながらも楽しそうに話す課長を見ていると、泣きそうになる。

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