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ショートラブストーリー

第11章 美帆③

「北方さん?」

課長があたしを見て、怪訝そうな顔をする。

慌てて笑顔を作り、課長にビールを注ぎながら話しかける。

「課長、お引っ越しって、いつですか?」

「いや、もう先週に引っ越したよ」

え!?

「来週からすぐに仕事だからね。早いうちに整理したんだ」

「仕事しながら引っ越しって大変じゃないの!?」

比呂子さんが感心したように言う。

「一人だからそんなに荷物ないと思ってたのに、まとめると結構な量で驚いたよ」

「そうよね。私も結構物に溢れた生活してるもん」

「吉田はゴミ屋敷寸前なのか?」

稗田課長が茶々を入れると、

「ご心配なく!!ゴミじゃなくて、必要なものばかりです!!」

そんな二人を笑いながら

「要らないかなって思ったものを全部処分したら、かなりシンプルになって…生活感のない、モデルルームみたいな部屋になってる」

課長が肩をすくめる。

「大丈夫、だーいじょーぶ!!要らないものって絶対に増えるから」

比呂子さんが課長の肩をポンと叩く。

あぁ、こういう真似、あたしには出来ないな。

比呂子さん、年齢は課長より下だけど、入社は課長の一年先輩だから…かな。

こうやって気軽に話してるの、羨ましい!!

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