テキストサイズ

ショートラブストーリー

第11章 美帆③

倉田の軽口を聞きながら携帯電話で電話をかける。

途端に何処からか着信音が鳴り響いた。

「…宇佐見?」

音のする方向を見て、比呂子が声をかけると、その声に振り返った男は、

「あ、ひぃちゃん。待たせてごめん」

そう言って、ぱっと笑顔を浮かべた。

倉田は宇佐見を見てから比呂子を見て、ぼそりと呟いた。

「ひぃちゃん…」

「何よ!?」

倉田を軽く睨み付け、宇佐見に向き直ると

「せっかく来てくれたのにごめん。これから飲みにいくから」

と、さらっと告げる。

「二人で?」

うん、と頷くと、宇佐見はふうんと呟いて

「じゃあ、帰る頃に連絡して。迎えに来るよ」

「来なくていいから。出直すの、大変でしょ!?」

「俺の心配してくれるんだ。ひぃちゃん優しいなぁ」

笑顔を浮かべる宇佐見に比呂子が眉を寄せて渋い顔をして、倉田は眉を上げた。

「彼氏、面白い人ですね」

「調子狂うんだよね…」

呆れたような口調で話す比呂子を見て、倉田は心の中で呟いた。

そう言いながらも、満更でもない顔してますけど?

「じゃあ、3人で行きましょうか」

倉田はそう言って、ニヤッと笑いを浮かべた。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ