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ショートラブストーリー

第11章 美帆③

比呂子さんたちがそんな事を企んでいた事に気付かないまま。

課長とタクシーに乗り、あたしの家まで送ってもらう事になって。

どうしよう。何話そう。

聞きたいことも話したいこともたくさんあるのに…何も言えなくなってしまった。

緊張してドキドキしすぎて、頭も上手く回らない。

「北方さん」

「はっ…はい!!」

「二次会、行かなくて良かったの?」

「はい!!いいです!!」

だって…課長が行かなければ、行く意味ないじゃないですか。

勢いよく答えたせいか、課長がまじまじとあたしを見て…くっと笑った。

「なっ…何で笑うんですか!?」

「いや…別に」

そう言いながらも、課長は口元に笑みを浮かべていた。

訳が分からない。

でも課長が笑顔でいてくれるのが嬉しい。

タクシーの後部座席。

ちょっと手を伸ばせば、簡単に触れられるくらい近くで並んで座っていて。

家なんか着かないで、ずっとこのまま隣に居られたらいいのに…。

今が幸せすぎて、ふわふわしてる頭でそんな事を願っていた。

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