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ショートラブストーリー

第5章 遥(はるか)

旅館に着いて。

宴会までの間、皆は自由時間となった。


「遥と同じ部屋だ。ラッキー♪」

「千秋なら気楽で良かった。二人部屋なんだね」

「ねぇ、まずはお風呂に行こう!?」

「ん~、まだ酔いが抜けきってないから後にするよ」

「そ?じゃ、行ってくるね」

千秋は手早く支度をすると、お風呂に行ってしまった。

「千秋は元気だな~」

テレビ見てのんびりするか…あんまり見たいのやってないなぁ。

ふと窓を見る。

あ、庭が結構ひろめで散策出来そう。

ちょっとだけ散歩に行ってこよ…



さすが和風旅館。
ちょっと歩くつもりが、水車があったり可愛い花が咲いてたりで、庭を散策するにもかなり時間がかかって…

「ヤバッ!もうこんな時間だ!!」

千秋、お風呂から出てきちゃう。

私は急いで部屋に戻ろうとして…途中で池上くんを見つけた。

坂口くんと話してる。同期だからか仲良いんだよね、あの二人。

「…何かうまくいかなくてさ~」

池上くんがため息を洩らしながら愚痴ってる。坂口くんは鼻でふっ、と笑うと

「情けねーの。せっかく案出してやったのに」

「ん~。旅行中にいい感じになれたら言えそうなんだけどなぁ」

「コクるってカズハさんに大見得切ったんだから、まぁ頑張れよ」

「他人事だよな~」

池上くんが坂口くんを睨んでぼやくと

「お兄ちゃん、って呼んでもいいんだぜ?」

「ふざけんな」

「何だよ。いずれそうなるかもよ!?」

「断固拒否する!!…っつーか、その前にお前の性悪に姉ちゃんも気付くだろ」

「生憎とカズハさんは俺のそーゆー所が好きみたいでね」

「最悪だな…やっぱお前、家に連れてったのが間違いだった」

「まぁまぁ、弟クン♪協力するからさ~」

「面白がってるだけだろー!?」

肩におかれた手を振り払って立ち去る池上くんを、坂口くんは笑いを浮かべて追いかけて行った。


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