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ショートラブストーリー

第5章 遥(はるか)

あたしたちはバスに乗り込んだ。

「池上、何でここで乗ってんの!?」

部長に捕まり、さっき私にしたのと同じ説明をする池上くん。

「遥、こっちおいでよ」

同期の千秋が手招きしてる。

「おはよ。…え、もう飲んでるの!?」

見ると千秋の席には缶ビールが置いてある。

「当たり前でしょ!?仕事じゃないもん」

「好きだね~」

「遥も飲むでしょ!?飲まないの!?」

「飲むよ。当然でしょ!?」

くすくす笑いあって、缶のまま乾杯した。



途中でサービスエリアや植物園の見学を挟みつつも、池上くんとの接点は何もなかった…。

そればかりか。



旅館までの間にあるサービスエリアでトイレに行って。

手を洗ってると、総務部の女の子が三人で話をしてた。

「つまんないよね」

「あたし、池上さんが来るから旅行に来たのよ」

「絵理子、池上さん狙いだもんね」

「そぅよぉ。ただでさえ部署違いで交流少ないんだから。こんな時じゃなきゃ近付けないじゃない!?」

「じゃ、宴会の時頑張っちゃう!?」

「襲っちゃダメだよ~?」

やだ~!!!とはしゃぎながら立ち去る彼女たちを見て、私は茫然としていた。

人気者だとは思ってたけど…知ってたけど!!

実際に、知ってる子が『狙ってる』なんて聞いたら…。

しかも、総務部の一番キレイな子が…。

私はどうしたらいいんだろ…。

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