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まとまらないお話たち

第2章 2

もうすぐ春という、冬の最後の季節。
来月には近所の高校に進学ということが決まっていて。
ちゃらんぽらんとした中学生活最後の日々を過ごしていた。
「……行った、かな?」
体育館裏の壁に背を預けたまま重たい顔を上げる。
ある程度、理由はわからないでもないけど、2年の秋頃から今まで…私は放課後決まって後輩に、世にいう…リンチというものをされていた。
「(あーん、もうまた汚れちゃったよ…)」
立ち上がり、スカートの汚れをはらう。
「……」
口内はなんかさびた鉄の味…血の味が、するし。
胴体をかばって傷を負った両腕はだぼくだらけ。
手首の所のボタンに、それから前のボタンもちょっとばかし外れてる。
「…あー、リボンがこんな所に…」
別に男子が加勢してきた訳ではないけど。
ため息まじりにホコリまみれとなっていたチェック柄のリボンを拾い上げブラウスを正した後首に通した。
「(こりゃあ、また裏口から帰んなきゃいけないな…。あとコレ、心配性のお母さんに見られたら大変なことになる……)」
骨が折れるまではまだ、いってないから。
どうせあと少しで卒業なんだし。
がまんするつもり。
………頑張れ、自分。
「よっしゃあ、それじゃ帰りま」
「何、山郷またやられてた?」
リボンと同じく土まみれのカバンを拾って肩にかけ、気合いを一発。
だけどもひどく場違いに感じるような声と共にタバコをくわえた白衣姿の男が影から現れて。
「どーどーセンセ…」
「とうどう。」
絶滅動物(絶滅鳥?)の名前はさすがにイヤだったのか。
白衣に全然合わない、大きなフレームのグルグルうずまき模様柄のめがねを外しながら口の端の方だけを吊り上げて、この人は笑った。
藤堂慎之介。
理科の先生で(なぜだか)3年間ともクラス担当。
私に暴力を振るうのはほとんどが女子だから…イコール、このひとが原因。
藤堂先生、それはわかっていると思うんだけど助けたり助けなかったり…気まぐれさは今に始まったことではないので先生には特に期待してない。
「…なんですか、それ」
白衣のポケットにしまうぐるぐるメガネを指差す。
「これ? 面白かったからさ、昨日買ってみた」
「へぇ…」
「軽く化けるでしょ、コレ一つでも」
「はぁ……そうですね(ついに気がくるったんかと思っちゃったけど…)」
ポケットにしまったメガネを取り出し両手でもてあそんでる藤堂。

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