まとまらないお話たち
第6章 6
それからは、ハル子は一切、君村には近づかなくなった。
正確にいえば、全部彼が望むようにしたのだ―――廊下ですれ違う時は挨拶、規則正しい身なり。
授業中で指名されれば、必ず答える。
素直に接した。
素直な生徒を演じた。
今までは反抗心から逆らっていたのに……だって怖かったのだ、生徒の挑発に乗る男なんて……。
やはり彼はまだ社会人の中ではひよっこの存在だ。
それがハル子の中でわかり、同時に二度とあの男には逆らうまいという決意が心の中で固まった。
自分の心はどこか大人のように冷めている、それはわかっているつもりだけれど。
同時に体も大人になるつもりなんてなかった。
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