まとまらないお話たち
第10章 10
……そんなことを思っていたある日。
「ちょっとヒナ、大変よ!」
と母が言うので父の部屋へ行くと……そこにはお雛飾りのガラスケースが。
普段はふすまに入っているんだけど…お母さん掃除するんで外に出したのかな?
でも……あれ?
やけに広いと思ったら、中に1体しか人形がなかった。
「お内裏様が消えちゃったの!!」
高かったのに~と嘆く母をわきに、よく確認すると確かにお雛様しかいない。
赤・橙・緑という蘇芳色の十二単に身を包んだお雛様が独りさみしそうに、ポツンと座ってる。
埃予防でかぶせてあった布をどかすと、ガラスケースの周囲に縛るように結んであったビニルヒモ(ちょうど蓋の上に結び目があった)が切られていて。
「コレ……最初から蓋はしまってたの?」
「そうなのよう~……もー、どうしましょう~……」
それにしても男を盗むなんて変な泥棒、警察に届け出した方がいいかしら、などと一人で騒いでるお母さん。
……いや別にお父さんの部屋なんともないし、被害はお内裏様だけだから通報しなくてもいいんじゃないかなぁ。
むしろ「かくれんぼ(宝探し)してるんですか?」って馬鹿にされそう……。
「……にしても不吉だわー。もしこれでヒナが生涯結婚できなかったら……」
「いや、そこはちゃんとしますから」
ついでに老後の面倒も見ますから。
そんな言い伝え? どおりになられちゃ困るっての。
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