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まとまらないお話たち

第2章 2


ちょっと用があるから、と理科準備室について行って。
なんか変なビーカーに入った気持ち悪いモノとかをなるべく見ないようにしながら、口元をおさえながら早く用事が終わるようにと祈っていたそのとき。
がさごそと包み紙かなんかを白衣を脱いで椅子に腰掛けていた先生は開いていて。
(タバコはムリ言ってここに来るまでにやめてもらった。今先生吸ってないはずなんだけど、なぜかこの部屋、タバコくさい…。先生、私の所に来る少し前まで吸ってたね?)
「いりません」
その手に持つものを見て渡される前に即座に断った。
「…やっぱり?」
それを手に持ちながら意外そうに、でもやっぱりという感じの藤堂。
わかってたんならやめて下さいよ、先生。
「一体何の冗談のつもりですか」
まずこんな変な場所で渡すものじゃないでしょう、……まぁ確かにジャマは入りませんですけどさ。
「いや、言っとくけど冗談じゃないぞ?」
「私、世間からとやかく言われるようなことした覚えないんですが」
「俺だってなぁ、犯罪者になるつもりなんか殊更ねえよ」
唇をとがらせる藤堂の手元。
…きらりと光る銀色のリング。
ふつう何ッとも思ってない生徒に指輪を渡す教師がいるんでしょうか。
先生、世間的にはなんか、イケナイことしてる感じがするんですが。
真ん中に透明な宝石がうめこまれてるシンプルなシルバーリング。
こんなブツを、渡されるような覚えは全くもってないんですが…藤堂先生。
「…とりあえずアレだ、他意はないからありがたく受け取ってくれ」
指輪を持ちながら手を出せと合図を出してくる。
左利きなのもあって右手をさしだすとちがう、と言われた。
……何が違うの?
「左じゃないと意味がないんだよ」
…そう言われましてもねぇ。
なんだか今更になってぶつぶつどうこう言うのもアホらしいので(どうあがいても藤堂はそのつもりでいるらしいから仕方ない)ため息半分、左手を差し出す。
さっきの藤堂の口ぶりだと、左の薬指にはしないらしいけど。
どうして左じゃないといけないんだろう。
「(…え?)」
すんなりと引っかからず、サイズ見事に指にはまった指輪。
左の中でも、一番左っがわで、小さな細い指……こゆび?
「なんで…」
疑問がそのまま言葉として出て。
「あ、やっぱり薬指の方が良かった?」
「……」
「そんな顔しないでも、ちゃんと大人になったらやるって」
「返します」

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