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まとまらないお話たち

第13章 13


「…ア、あ…ぐ…」
新入りの手に高く抱え上げられた男の首が締まっていく。
眼球がこれでもかという程に飛び出て赤くなった肌に血管が浮き出る。
口からは呻き声と共に細かな泡がこぼれ落ち……堪え切れずに俺は目をそむけた。
男は俺の上司…いや、昨日まで行動を共にしていた良きパートナーだ。
先輩であり、相棒だった。
優しい奴だった。
優しいから…ちゃんと任務をこなせなくて、しまいにはやめるなんて言い出し、結果こんな死を迎えるハメになってしまった。
組織を抜けるには死ななければならない――同じ殺し屋の仲間に殺される運命。
入る時はルールとして社長の目前で人を殺す。
殺さなければ中には入れない。
そしてその時に殺されるのが――社長に辞表を出した奴。
クビ宣告を受けた奴。
つまり殺す側からすればこれは一種の仕事。
初仕事なのだ。
会社の存在が表社会に知られちゃ困るからしているのか、それとも一度手を血に染めた人間は平穏な暮らしに戻れないから、その情けとしてするのか…は社長に聞かなきゃわからないが。

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