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まとまらないお話たち

第17章 17

「……う……。なんか今日は、いろいろヤヴァイな……」
頭痛あーんど下腹部の痛み。
ぱちりと目を開けて体を起こすと、ダブルパンチが私の体を襲った。
勿論、身に覚えはない。
「(ここのところ寒気がしたり眠かったりしたが…)まさか…!」
ふと頭によぎった単語に部屋を飛び出す。
この宿屋の構造上、トイレへ行くには食堂を突っ切るしかない。
朝から……奴らの目につくよりも早く行かねば……!
……が。
「(ぬぁっんで、入口近くで食べてんのよぉっ!)」
こいつら、派手な集団だということを自覚してないのか。
他の旅人が好奇の視線(男は妬みやら羨望やらだけども女性の方々は惚の字一点よ…!)を向けても何ら気にした風もなく、ヤルミルは大食漢の力を朝から見せつけその隣では低血圧のシラスがコーヒーを啜り、ロジオーンはなんか…別に調達した赤い塊が皿の上に乗ってて(あまり見ないようにしよう。ただ犠牲となった動物に哀悼の意をささげる)……まぁ、私以外全員集合って訳だ。
……どうする?
「(他の客に紛れてGOだ!)」
握り拳を一つ。
よしっと気合を入れ一歩踏み出したところで。
「カシイー! おはよー!」
食堂中にヤルミルの声が響き渡る。
一口咀嚼し嚥下後にすぐ声を発したのか、片手にチキンを刺したどでかいフォークを持ったまま。
ぶんぶんと笑顔で手を振られると、さすがに無視できない。
約2名のようにドライな性格じゃないもんね…!
「お…おはようヤルミル。みんなもおはよう」
ぎこちない笑みを隠すことなくテーブルに近づく。
(ヤルミルを除き)笑顔で応答2名、無視1名、目線だけ1名。
「あっれーどうしたの。今日は随分大胆じゃん」
「…ちょっと諸事情がありまして」
エリヤの口舌にベビードールの裾を下へ引っ張りつつ答える。
『逆ハーレムって大変よねぇ』……あの勘違いオバサンめ、妙な物寄越して…!
「……事情が?」
シラスが伊達メガネの下、眉を寄せたところで隣のロジオーンの黒い鼻がピクリと動き、
「…血の臭いがする」
それはあんたの眼前にあるものよ! と返したかったけど全員の目が私を見たことにちょっと驚いてうまく誤魔化せなかった。
「そっ――そうそう! だからコレなの! ごめん、ちょっと厠行ってくるわ――」
動物の野性的勘は恐ろしい。

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