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まとまらないお話たち

第17章 17


「遅れてごめんね、みんな!」
とりあえず元気に行こう。
宿を出てすぐ私は明るく皆に声をかけた。
「…ああ、カシイさん来ましたか。では」
言いながらこちらを見たシラスが言葉を切り、
「………」
すみません。
無言って怖いんですけど。
突如黙った彼の隣でヤルミルがにっこりと笑い、「どうした? カシイ、いつもよりキレーに見えるけどなんか寒そうだな?」…その言葉に残り2名の目も私をとらえる。
「…エリヤさんってこういう趣味なんですね」
「は? いやいや、悪いけどこれはカシイちゃんの意思で」
迎えに行った時俺もびっくりしたんだから、とか言うエリヤの言葉を聞いていないのか、珍しくロジオーンが軽蔑している。
ユリユシュに至ってはまだ先端が燃える煙草を口端から落とし……。
「…ね、ユリユシュ。また上着貸してくれないかなぁ?」
「断る」
しかし踵で吸殻を踏みつぶすと、すぐに背を向けてしまった。
あらら…冷たいの。
「上着なら僕がお貸しますよ」
横からシラスの声がして「うん――」と生返事しつつ。
私ははっとした。
さっきから人の目がチラチラ気になるなと思ってたけど。
私達いまだ宿屋の前で何をベラベラと無駄話を続けていたのか。
シラスの濃青のコート袖に腕を通しながら口を開いた。
「とりあえず行こうか、みんな。出発しようよ」
エリヤとロジオーンは何やら口論に火が点いたらしく、他の3名もなんだか……。
しかしユリユシュの腕をすり抜け道の先をピッと指したら、
「お前が仕切るな」
と彼に頭を小突かれた。
「おい! 来ねえ奴は置いてくぞ!」
ユリユシュが声を張り上げると、お騒がせ2名も静かになり、皆彼の方を向く。
おぉ―――、さすがリーダー。
一人ぱちぱちと拍手していると、また睨まれたのではっと両の掌を離す。
ユリユシュは私が行こうとしていた反対の道へと足を進めたが、そこで私は気付く。
「あ」
「今度は何だ」
ちゃんと立ち止まって訊いてくれるあたり、ユリユシュもだいぶ優しくなったと思う。
「…ちょっと待って。そっちに行く前に、私、寄りたいトコがあるの」
片眉を吊り上げる彼に苦笑して、自身の服に人差し指を向ける。
なんてこたぁない。
オバサンにご返却パート2なのです!

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