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まとまらないお話たち

第3章 3


「(え、えーと…)それではこれから、新役員会の紹介と全校集会を始めます。今日の司会は、高等部2年湯野いのりです。宜しくお願いします」
一礼すると途端に大勢の拍手。
緊張も極度に達する…毎度、いつものことですが慣れない。
集会は高等部のほかに中学部も一緒にやる。
ピンク系のチェックのブレザーよりも、黄色いセーラーの方が未だに好きな私は、それでいつも中学部に戻りたいなぁ…と思うんだよね。
確かにブレザーは可愛いんだけどさ。
というか寒い!!
すぐ後ろは非常用の扉(出口)だから仕方ないものの、やっぱりステージのそでは…というか冬場はここ、きついんだよね……。
でも隣には会長がいるから、というか会長命令だから司会は断れないし。
「では、まず最初に新役員の紹介です。始めに放送委員のみなさん、宜しくお願いします」
寒い。
なぜかわからないけどこういう日に限って鳥肌が立つ。
マイクの電源を切ってからスカートの裾を少しでも引っ張って伸ばして、薄い長袖シャツの上から両腕を擦る。
まだ衣替えしてなくてよかった…けど、上着を忘れた私はバカ。
「どうした? 寒い?」
仕事中は生徒会役員同士の私語は慎むこと、と担当の先生からは言われてる。
第一、そうするのが普通。
全校生徒のトップにたつわけだし。
…マナー。
けれど会長はそのことを知ってやっているのか、堂々と顔を覗き込んできて。
「い、いえっ…」
他の役員、ましてや会長のファンクラブを仕切る、小倉副会長が私のすぐ隣にいる。
ばっと両手を離して膝の上に置くも、やっぱり足はがくがくと震えて。
変…、冬でもないのに。
「無理しないで。…風邪ひくと大変だから、僕のかけていいよ」
上着を脱いだかと思えばそれを肩にかけられて、心臓が飛び出すかと思った。
……こうして優しい会長の行動を一つ一つ。
まるで世間のメディアのようにうるさい新聞部は写真つきで取り上げて記事にする。
またこんなことされたら…。
「だ、大丈夫ですから会長っ。お気持ちだけで十分です…ッ」
慌ててそれを返そうとするも、ほら、と会長は顎をしゃくって。
その先には、もう紹介は終わったのか、こちらの言葉を待っている放送委員と次の委員達。
「(あっ…)」
「…っほ、放送委員の皆様どうもありがとうございました。次は新聞部です、新聞部の皆さん…」

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