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まとまらないお話たち

第5章 5


「……おまえはバカか?」
言って、リンは深々と嘆息した。
「! ぁっ、ちょっとリンさん…!」
「…勘違いもイイトコだよなあ。メイは――――」
レピアの言葉も聞かずに手を僧衣の裾から中へと忍ばせる。
「アイツは、仲間として憐れんだだけだ。ヤりたきゃとっくに襲ってるよ」
…今。
さりげなく怖いこと言ったような。
しかしそんなこと、今は深く考えている場合じゃなかった。
さして体温の高くない手が素肌に触れ、レピアはふるふると頭を振る。
「やっ…だ、めです…ッ」
付け根を探る手が、いつ下着に触れるかわからない……。
いや、もしかしてわざと避けてるのか。
そうだとすると、なんてイジワルなんだろう。
「イヤですってば…!」
笑いながらスるあたり、絶対からかってる。
リンはどうだか知らないけど、こっちにとっては大事なモノなんだ。
日中は女の子の姿なのに、そんなこともわからないのか。
頭を振りながら腰を引いて、きつく足を閉じる。
「……わかってねェのな、お前――」
す…と手を出すと、リンは両手を頭の後ろにまわした。
せっかくコッチに戻れたのに、とか一人ぶつぶつ言いながら髪を束ねている紐を解く。
もしかしてそれで両手を封じる気か?
左右の手で握り拳を作り身構えているとリンの顔が下におりてきて、リンの長くさらさらの髪が垂れ下がる。
反対にレピアの髪は肩にかかるかかからないかぐらいで、短めだ。
「お前だからするんだろ、」
レピア。
名前を呼ぶその声。
「…お前じゃなきゃ意味がねェ…」
切なげな声に、瞳をどう向けたらいいのかわからなかった。
痛々しいほどの彼の表情に、どう返せばいいか。
「…あ、あの…」
ドキドキはするけど、…多分違うだろうし。
多分そういうのじゃないんだろうし。
「オレのことは、嫌いか?」
囁きながら、リンがぴちゃり、と音を立ててレピアの首筋に吸いつく。
唇を離すと、まるで華のように紅い跡が残った。
「……い、え……」
思わず声が震えた。
「あなた……のことは…」
リンはてっきりメイを――と思ってた。

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