まとまらないお話たち
第6章 6
「(……バカじゃないの)」
教師に恋をするなんて信じられない。
よごれてる。
あくまでも清純派でいたい、普通の中学生でいたいこの少女は中学2年の14才。
確かにそういうバラエティ番組みたいなもので、実際に(無事)婚約まで至った生徒と教師が画面に現れたりするけど。
でも教師と恋に墜ちるなんてそんなのマンガか何かの話だ。
しかも、『高校』を舞台にした。
中学ではそんなものマンガの中でもあり得ない。
それはみんな、中学生はまだ純粋な子供と考えているからか。
「えーっ、君村先生イイじゃぁん。ハル子どうしてヤなの?」
答えるまでもなく、どうせ下らないと真面目と言われるだけだからと口を噤んだまま友を眺めていると。
「あ、アレだよねハルちゃんは。この前怒られたからだよね?」
横からぴょいっとロリロリの高い声が…体格も何もかも。
中学生にしてはムチムチに成熟している女子、まり。
そんなまりの隣で先ほどのちょっと髪の赤い、ぱっと見「不良」と間違われなくもない女子、真央は「納得いかない」とでも言うように頬を膨らませた。
「…別に、前からキライだよ」
あんなのなくても。
ハル子は言いため息を吐いた。
真央は多少派手とは言え、スタイルは良いしすらっと伸びた手足は恰好良いと同性の自分でも思う。
まりは大きな胸にくりくりした円らな瞳に、サラサラの髪に。
背は小さいほうに入るけれど、でもそれもまた、まりの可愛さを引き出しているとハル子は思った。
………そんな2人と友情を深めて早、7年。
2人みたいに可愛い名前という訳でもない。
ましてや自分の名前は、カタカナを中途半端に使った名前。
背にしろ何にしろ、自分は名前どおり中途半端だなとハル子は思っていた。
確かに3人でいれば振り返る男子は多いけれど、でもそれはみんな2人に目が向けられているからで。
まぁ…かと言ってモテ過ぎるのも嫌だったが。
「(っていうか次君村の授業かぁー)…お手洗い、行ってくる」
ちょっと席を外そう、わざと遅く来ようと席を立ったハル子。
彼女は知らなかった、教室を出て行く自分を追う視線が、教室の中だけでいくつもあることに。
「…………」
確かに2人に比べればハル子は平凡な中学生だった。
それこそ、彼女が望むように特別美人という訳でもない、普通の女子。
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