禁断兄妹
第62章 夢のチカラ・夢のカケラ
「そういえば‥‥さっきお父さんが言ってた、やるべきことって、何?」
コートに袖を通しながら
何気なく
口にした。
───まだやるべきことが残ってるから、それだけは方をつけてから───
それは
お父さんの夢とか
なのかな
「んー‥‥?」
お父さんは目を閉じていて
眠りかけてたみたいだった。
私が長居して色々話をしたから
疲れが出てきたんだろうか
「あ、ごめんなさい。寝てていいよ、帰るね」
「‥‥真実と向き合うっていう仕事が、俺には残ってるのさ‥‥」
ゆっくりと
お父さんが呟いた瞬間
ざわり
梢が大きくしなるように
胸が
ざわめいた。
真実と
向き合う‥‥?
立ち尽くしていると
お父さんが
閉じていた目を薄く開いた。
「萌‥‥看護師さん、呼んでくれるか‥‥」
「えっ」
息を整えようとするお父さんの顔色が
はっとするほど
悪い
「なんだか急に‥‥気分が‥‥───」
お父さんの声が
途切れた。