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禁断兄妹

第63章 聖戦



真っ白な頭の中

ぐるり

真っ黒な深海魚が
ぬめる身体を翻す。


「ンウウ‥‥ッ!!」


すぐそばで聞こえる
シャッターの音

恐ろしくて
目が開けられない。


舌ごと私の顎を押さえつけている
大きな手

引き剥がそうと
両手に力をこめるけど

びくともしない。


熱を帯びた魚は
シャッターの音を引き連れて
悠然と泳ぎ回り

そして溢れる唾液と共に
びちゃりと抜け落ちた。


「はあっ、ッく、はあッ、うう‥‥」


口いっぱいに残る
熱の軌跡
煙草の味





吐きそう

吐く



喉を駆け上がった
苦いもの

止めることもできず
覆った両手の隙間から
ボタボタと零れた。


「う、ウウッ、ッく、うぐっ、」


びくびくと痙攣を繰り返す胃

せき込むように
何度も
吐いた。


どうしてこんなことを

どうして
写真を




助けて








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