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禁断兄妹

第63章 聖戦



「柊‥‥?
 兄を下の名前で呼んでいるのか」


私が吐いたことなど気にも留めていない
薄笑いを含んだ声が
聞こえた。


私は無意識に
柊と
口にしていた。


「この状況であいつの名を呼ぶとはな。予想以上の適役だ」


「うう、もう、ひっく、もう、帰して‥‥っ」


「お前が役割を果たせば、解放する」


シュルッ‥‥


衣擦れの音

口を覆っていた両手に
何かが触れた感触

目を開けた時にはもう
私の両手首は
巻き付いたネクタイで
一つに縛られていた。


「ひっ‥‥!!」


後退ろうとした私の膝に
目にも止まらぬ速さで男が跨り

悲鳴を上げた私の首に
手を縛ったネクタイの端が
絡みつく。


全てが
一瞬の出来事

私の両手は
首元に固定され

男の体重で
足も
動かせない。

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