
禁断兄妹
第64章 聖戦②
「行きましょう、足元に気をつけてください」
看護師は
柊兄を後部座席へ導くと
自身も柊兄の隣に乗り込み
萌の応急処置をし始める。
あっという間の手際の良さに
圧倒されていたけど
「ちょ、ちょっと!救急車じゃなくて本当に大丈夫なのか?ちゃんとした病院なんだろうな?!」
「うちは24時間、脳疾患の救急患者を受け入れている病院です。その点は安心してください」
「お姉さんはハイタニさんの知り合い?この人本当に大丈夫?!」
俺の問いに
看護師は微笑んだ。
「信用できる方です。少なくとも私はそう思っています」
「早く乗ってください。置いていきますよ」
会話を遮るように後部座席のドアを閉め
運転席に乗り込んだハイタニ
すぐさまエンジンをかける。
「バカ待て!行くに決まってるだろ!!」
俺は地面に置いたままだったコートとマフラーを
慌てて拾い上げると
助手席に飛び乗った。
