禁断兄妹
第66章 罪と罰
人の気配に顔をあげると
移動してきた和虎が
ひとつ離れた椅子に腰をかけるところだった。
ゆっくりと足を組むと
何も言わず
静かに前を見ている。
「和虎」
「うん‥‥?」
「灰谷から何か聞いてるか」
「萌に関することは、何も言わないね」
「そうか。
灰谷を連れて帰ってくれないか。あいつの顔を見ると、ぶん殴ってでも吐かせたくなる」
「‥‥了解」
前に向き直ると
ロビーのすみに置いてあるクリスマスツリーが
目にとまった。
もうすぐ
クリスマスイブ
俺の誕生日
その日を楽しみにしていた萌
俺も心から
楽しみにしていた
のに
言いようのない虚しさが襲ってきて
俺はポケットをまさぐり
萌の携帯を取り出した。
美弥子と一緒にクリスマスのクッキーを焼いたと
この携帯から可愛い写真を送ってくれたのは
一週間前のこと
目にした時の甘酸っぱい感情
胸のくすぐったさ
今も鮮やかに
覚えてる。
俺は
萌の携帯の中に残っているであろうその写真を求めて
何気なく
写真のフォルダを開いた。
「‥‥‥なんだ‥‥これ‥‥‥」
目に飛び込んできた
最新の写真
それを目にした瞬間
世界が
色を変えた。
赤黒い
絶望の
色に