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禁断兄妹

第67章 罪と罰②



「待って二人とも、灰谷さんの話の前に、聞いて欲しいことがある。
 今回の件と重大な関係がありそうなんだ」


俺の背を抱き
一緒にしゃがみこんでいる和虎が
思い詰めた声をあげた。

続きを促すように視線を向けると
和虎は頷いて


「ついさっき由奈から電話があったんだ。‥‥灰谷さん、由奈ってのはモデルのYUNA。柊兄とのスキャンダルが発端になって、昨日出た週刊紙に実家が暴力団だって暴かれた娘。
 その由奈がね、『うちの組員が柊君への復讐を仄めかせて出ていった』から柊兄のことが心配だって言ってたんだ。
 黒のロングコートを着てて身長も180以上あるって。まさにあの男のことじゃない?」


「‥‥!!」


あの男
霧島組の組員だったのか


繋がる

全て合点がいく

ヒカリでの謎めいた言動も
暴力的な握手も


「和虎、あいつだ‥‥ヒカリで会った、あの男‥‥っ」


「えっ?!あっ!!」


和虎が目を見開く。


「そうだよ!どこかで会ったことがあるような気がしてたんだ!!」


「間違いない‥‥
 あの野郎、妙に挑戦的な態度で握手を求めてきて、折れるかと思うほど強く握りやがった」


「マジかよ、あの時から狙ってたってこと?!」


「あの男が暴力団の組員だったとしたら、話が繋がります」


灰谷も地面に片膝をついた。


「昨日他のコンシェルジュから聞いたんですが、最近マンション周辺で不審な黒塗りの車が目撃されていたそうなんです。
 その組員が以前から萌さんの行動確認をしていて、昨日実行に及んだと考えると、辻褄が合う」


俺達は
顔を見合わせた。


和虎の顔にも
灰谷の顔にも

一ノ瀬柊への復讐の為に、萌が犠牲になったのかも知れない


書いてあった。


かも知れない
じゃない

きっと

その通りだ


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