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禁断兄妹

第67章 罪と罰②



「私は萌さんと約束したんです。誰にも言わないと。
 でもあなたは知ってしまった。
 萌さんが一番知られたくなかったのは、一ノ瀬さん、あなたなのに。

 約束してください。私から何を聞いても、大ごとにはしないと。
 萌さんが自分から口を開くまでは、何も知らない振りをすると」


「‥‥っ」


強く噛み締めた奥歯が
ぎりりと音をたてた。


灰谷なんて

俺は信用していない

嘘だ
でたらめだ

そう思うのに

灰谷の言葉通りに
萌が胸に映る


───柊が傷つく───





「‥‥くそ‥‥っ」


手の下のアスファルト

真っ赤に
歪んで見える。


「‥‥約束する‥‥」


もう
そう言うしかなかった。


「だから全部話せ。お前が見聞きしたことを、ひとつ残らず」


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