禁断兄妹
第68章 罪と罰③~灰谷の告白~
「昨日私は、巽さんのお見舞いに病院を訪れました。
その帰りがけ、学校から直接来たらしい制服姿の萌さんが病室に現れたんです。
私を見送るようにと巽さんが萌さんに仰って、私達二人は病室を出て‥‥そして私からお誘いし、一階の中庭で萌さんと話を───
‥‥いえ、事件と関係のない話をしてる訳ではありません。
と言いますか、確かに会話の内容自体は今回の事件と関係がないのですが、この中庭での出来事が、その後の私の行動に大きな影響を与えたんです。
触れておかなくては繋がらない‥‥どうか聞いてください。
中庭で二人きりになり、私は萌さんを助けたいと思っている、いつでも力になる、ということを伝えたのですが、助けなど必要ないと叱られ‥‥ええ、お節介は承知の上でしたが、きっぱりと拒まれて‥‥そして思いがけず私のプライベートな悩みに話が及びました。
私が長年悩み、後悔し続けてきた、弟の死についてのことです。
長く重たい話を、萌さんは黙って聞いてくれました。そして暖かな言葉で私を癒し、私と弟を救ってくれたんです。
その時の感動は言葉ではとても言い表せない‥‥私は萌さんに心からの感謝と、尊敬の念すら感じました。萌さんの為ならどんなことでも力になりたい、いや絶対になるのだと、強く決意したんです。
私は今回の事件の中で、不可解に思われるような行動をいくつもとっています。しかしそれは私なりに、この決意に基づいた行動だったんです‥‥まずはそのことを、わかって欲しかった。
自分の考えや行動には恥じる部分もありますし、後悔もしています。しかし包み隠さず話すことが私の責任だと思っています。
では、話を進めます‥‥」