禁断兄妹
第68章 罪と罰③~灰谷の告白~
「中庭での会話を終え、私は萌さんに最近マンション周辺で不審な車が目撃されていることを伝え、心配だから帰りは送っていくと、お見舞いが終わるまで待っていると申し出ました。
しかし萌さんはその情報を気にする様子がなく、帰りに寄りたいところもあるし一人でも大丈夫だと言って‥‥私はやんわりと固辞されてしまいました。
そこで一旦は別れたのですが、やはり心配だった私は、待っていることにしたんです。
自分を救ってくれた萌さんに万が一でも何かあってはならないと、今度は自分が萌さんの力になりたい、守りたいという一心でした。
しかし萌さんは中々やって来ず、一時間が過ぎ二時間が過ぎ‥‥こんなに長時間待たれては逆に迷惑だろうか、しつこいと思われるだろうかと不安になりながらも、私は待ち続けました。
そしてやっと来たと思ったら、萌さんはすごい速さで走って病院を出ていってしまったんです。
慌ててあとを追い、駅で追いついて声をかけようとした時、萌さんが涙ぐんでいることに気がつきました。
思ってもいなかったので、私は驚き、固まりました。
ええ‥‥巽さんのことで泣いていたんですよね。
巽さんに関することかも知れないとは思いながらも、まさか危篤状態とまでは、思いませんでした。
数時間前に私が見舞った時、巽さんは元気そうだったからです。
今も、信じられない思いです‥‥」