
禁断兄妹
第71章 君が方舟を降りるなら
お葬式の会場に戻る為に
お兄ちゃんと二人
並んで歩いていた時
お兄ちゃんは
昨日病室で怒鳴ったりしてごめんな、と言って
まだ何も思い出さないか?と
優しく言葉を続けた。
思い出さない、と答えたら
お兄ちゃんは
そうか、と静かな声で呟いて
そして
こんなことを言った。
───知ることは痛みかも知れない。
でもそこには、喜びも確かにある。俺は、そう思えた。
萌。
俺が力になる。支えになる。
癒すし、なぐさめる。
だから
知ることを、恐れないでくれ。
そこには喜びも、確かにあるのだから───
