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禁断兄妹

第76章 エム・オー・イー



お兄ちゃんはニューヨークを拠点に世界中を飛び回っていて
勿論日本に戻ることもあるけれど
ほとんどは海外

年末年始を日本で過ごすことも
あったりなかったり

だけど今年はスケジュールが合って
大みそかに家に帰ってきてくれた。

私とお母さんと翼の
三人だけの生活に慣れているけれど
やっぱりお兄ちゃんがいてくれるのは嬉しくて
ドキドキ
甘酸っぱい気持ち。

おしゃれをして
薄くメイクをして
淡いリップを

そして
夜店でお兄ちゃんに買ってもらった
あのイヤリングをつけて。

これを目にすると
お兄ちゃんはいつも嬉しそうに微笑んでくれるから
それが私も
嬉しくて


「萌も飲む?」


「うん、ちょっとだけ」


私はもう二十歳だから
お酒も飲める。


「柊兄、アタシ達にも聞いてー」


「聞かなくたって飲むんだろ」


家には和虎さんと灰谷さんが来て
今夜はみんなで年越しパーティー。
私とお母さんが作ったたくさんの御馳走と大人数に翼は大興奮。


「翼も飲む!」


「お前はあと十四年待とうな」


翼のことをとても可愛がっているお兄ちゃんは
膝の上に乗ってくる翼を好きなようにさせ
この上なく優しい表情で
始終翼の頭を撫でている。

翼もお兄ちゃんのことが大好きで
雑誌やスタイルブックを絵本代わりに見ているほどだから
嬉しくて仕方ないみたいで
特に今日はバタバタとはしゃぎまくり。

翼はやんちゃでいつも手を焼いているけれど
本当に可愛くて可愛くて
目に入れても痛くないって
こういうことを言うんだなって思う。


「そうやっていると萌が小さかった時のことを思い出すわね」


お母さんは
翼とお兄ちゃんが一緒にいるのを見ると
よくそう言う。


「柊の愛情深い表情とか、あの頃とそっくり。
 萌も柊の膝によく乗りたがって、柊はまだ小学生だったから重たかったと思うんだけど、いつも優しく萌の頭を撫でていたわ」


「天使は軽いよ。羽があるからね」


お兄ちゃんは翼の頭を撫でながら
その極上の微笑みを
私に向ける。


「萌も本当に可愛いかったな。今も変わらず、天使のように可愛いけどね」


どきん、と胸が甘く高鳴る。

天使のように

本当かな

すごく
嬉しい

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