禁断兄妹
第77章 手紙を奪還せよ
閑静な住宅街の中にあるヒロの店
店舗兼住宅になっていて
一階が店舗、二、三階が住居。
白を基調としたシンプルな外観は
清潔感があり美しい。
店の全ての窓にロールスクリーンが下ろされているが
仄かな光が漏れていて
入り口の前には
コックコートにエプロン姿のヒロが仁王立ちしていた。
「ずっと待ってたのか?風邪ひくって」
タクシーを降りて駆け寄ると
「入ってくれ」
ヒロは踵を返し店の中へ入って行く。
落ち着きは取り戻したようだけど
その背中からは確実に殺気が立ち上っている。
後に続いて入った店内
窓際にちょっとした休憩スペースのような椅子とテーブルがあり
ヒロは俺に座るように勧め
自分も腰を下ろし
俺達はテーブルを挟み向かい合った。
「ヒロ」
「和虎」
同時に互いを呼び合って
一瞬の間
「ヒロ、お互いに話すとさっきの電話のようにぐちゃぐちゃになる。まず俺から話をさせてくれないか。
どうして今日、俺が手紙のことを言い出したかについて、説明したい」
「わかった」