禁断兄妹
第77章 手紙を奪還せよ
その日の夜
霧島組の男に電話をして
由奈に接触できたことを伝えた。
俺は本能的に
この男とは情報を共有すべきだと思っていた。
手紙の奪還の為だけじゃなく
由奈の救出の為にも
きっと必要な人物だ。
男は驚き
いつもの冷笑は消え
熱心に俺の話に聞き入った。
俺とヒロの行動の一部始終
そして
由奈の様子もすべて話した。
「そうか‥‥」
うめくような声
頭を抱えている空気
俺と同じように胸を痛めていることが
伝わってきた。
「今の由奈の状況では、霧島組へ行くことができるかは微妙ですが、もし連絡が行ったりしたら、その時はよろしく頼みます。
手紙を返して欲しいのは勿論ですが、由奈のことも助けたいです。俺にできることがあれば、言ってください」
「わかった。
‥‥お前の行動に、感謝する」
男の声は今までになく
深く
真摯なものだった。
今の俺にできることは
ここまで
由奈
あとはお前次第
自分で自分の足を動かすことができるか
由奈