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禁断兄妹

第78章 恐れずに進め



雨が降る

柔らかな雨音が
霧のように
私を包んでゆく


真夏の夜の
深い深い森の奥

泉のそばに伏した身体に
降り注ぐ雨

絡みつく熱気と湿度
むせかえるような
甘い花蜜の香り

肌を伝い
流れてゆく雨は
指先を浸している傍らの泉へと流れ込み

満たされた泉は
溢れ
静かに打ち寄せて

いつしか私は
泉の中

温かい

私は漂い
ほどけ

溶けてゆく

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