禁断兄妹
第78章 恐れずに進め
ごめんなさい何も見ていない何も
叫びながらユーティリティから飛び出した私は
そのまま自分の部屋のベッドに飛び込み
布団を頭から被って
海老のように小さく丸まった。
心臓が爆発しそうで
胸が痛いほど締めつけられて
───何してるの‥‥?───
何も見ていない、と
とっさに言ったけれど
私は見てしまった
MOEの刻印を
ペンダントの中にあった
銀色の二つのリング
その内側には
私の名前
あれが
永遠の愛なの‥‥?
「どういうことなの‥‥意味がわからない‥‥」
知りたい
MOEの刻印の前にも
何かアルファベットが並んでいたように思う
知りたい
もっと見たい
もっとちゃんと
───‥‥萌のエッチ───
「ち、違うの、裸じゃなくて、リングが‥‥っ」
一瞬にして心を奪われた
お兄ちゃんの美しく鍛え上げられた上半身
鮮明に蘇って
身体中が熱く燃え上がる。
首筋から続くなめらかな鎖骨のライン
広い肩から伸びる逞しい隆起が連なる二の腕
力強く張りつめられた厚い胸板の上の
二つの浅黒い頂き───
カチャッ‥‥パタン、と
隣の部屋のドアの音が聞こえて
心臓と身体が跳ね上がった。
私の隣の部屋が今もお兄ちゃんの部屋
バスルームから戻ってきたらしい気配に
息が止まりそう
小さな物音の一つ一つに意識が集中して
お兄ちゃんの動きや表情を
想像してしまう。
永遠の愛
MOE
お兄ちゃんは
ペンダントを勝手に手にしていた私を
どう思っただろう
お兄ちゃん
あなたは今何を
思ってるんだろう