禁断兄妹
第79章 つがいの鳥①
霧島組と神楽組は良好な兄弟関係にあったことから
昔から家族ぐるみで付き合いがあった。
神楽組の長男である臨一朗と私は
小学校に入る前から
盆暮の挨拶やお祭りで何かと会う機会があり
会えば一緒に遊ぶ仲。
私より背も低くて細くて泣き虫だった臨一朗
目鼻立ちも女の子みたい
昔から気の強かった私によく泣かされて
それを神楽の組長に怒られてまた泣いて
くりくりとした瞳から大粒の涙を零していた。
それでも何故か由奈ちゃん由奈ちゃんと私になつき
会えばいつも嬉しそうに私について回り
一緒に鬼ごっこやかくれんぼやままごとをして遊んでいたのを覚えている。
臨一朗はその頃から
由奈ちゃんが大好きだからお嫁さんにしたい
大きくなったら結婚して、と
よく言っていた。
私は相手にしていなかったけれど
おじいちゃんと神楽の組長は
臨一朗と由奈は許嫁だな、なんて適当なことを言っていた。
臆病で泣き虫だった臨一朗
でもそれは本当に小さな頃だけで
小学生中学生と大きくなるにつれ
みるみる変わっていった。
たまに会う度に明らかに背が伸びて
最終的には178センチの私の身長に追いつき
ひょろひょろしていた体は一般男子以上に鍛えられ
口ぶりも顔つきも堂々として生意気な極道風情
会えば偉そうに私のことを由奈と呼ぶようになったりして
幼い頃の面影はなくなったけれど
私に対する熱愛だけは
ずっと変わらなかった。
美人で気が強くてやっぱりいい女だ
嫁にするなら由奈しかいない、ぜひ神楽組に嫁いでもらいたい、と言い続け
誕生日には豪華な贈り物を霧島組へ届け
おじいちゃんにも事あるごとに
結婚の話を持ち掛けるほどだった。