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禁断兄妹

第79章 つがいの鳥①



神楽組は歴史のある老舗極道で組員や枝葉も多く
昔から関東でも有数の経済力があった。

霧島組も組織力や経済力は強かったけれど
経済力だけで言えば神楽組には霧島組と同等かそれ以上の力があった。

そういう背景もあって
おじいちゃんは私に臨一朗との結婚を強く勧めていた。
『極道は極道の家に嫁ぐのが一番』
『あそこなら一生金に苦労しない』
『霧島組としても申し分ない嫁ぎ先だ』と
いつも言っていた。

私はトップモデルになりたいという夢があったけれど
柊君とのスキャンダルによって
実家が暴力団であることを暴かれ失墜

失意のまま実家に戻った私は
おじいちゃんに土下座して
柊君の身の安全と
修斗の指を守ることを約束してもらい
その見返りとして
ずっと勧められていた神楽組へ嫁ぐことを決めた。

臨一朗のことは別に嫌いな訳ではなかった
でも愛情もなかった。
柊君とのスキャンダルを起こしたばかりの私を
臨一朗や神楽組は嫌うのではと思ったけれど
ずっと私との結婚を願っていた臨一朗は全く意に介さず
むしろ自分にとってはラッキーな展開だと喜び
愛は結婚してから育めばいい、と言って憚らなかった。

神楽組にとっては組の安泰と経済力の強化に繋がるなら
私のスキャンダルなど些末なことらしく
私との結婚は組の跡取りとして可愛がられている臨一朗たっての希望と言うこともあり
あっという間に日取りが決まり
あっという間に式が執り行われて

私は結婚の承諾から一か月も経たずに
神楽組の嫁となった。

二十歳だった私を待っていた神楽の家は
臨一朗の祖父母に当たる会長夫婦
両親の組長夫婦
そして私と臨一朗
三世代が同居する三世帯住宅

その豪邸の三階
初夜のベッドの上で
臨一朗は胡坐
私は正座で
向かい合って座っていた。

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