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禁断兄妹

第79章 つがいの鳥①



「言っておくけど、リンのことを誰かにばらしたり、ここから逃げようとか霧島に帰ろうとか、絶対に考えないでね。
 そんなことしたら、針千本くらいじゃ済まないんだからね。霧島に死人が出ちゃうからね」


私を見つめる澄んだ瞳
何をしでかすかわからない狂気が
透けて見えるよう


「ずっとここにいるわ‥‥」


ここにいるしか
ないのだから


臨一朗は
嬉しい、と微笑んで
安心したように瞳を閉じた。


「ずっと仲良しでいようね。一緒に仲良く暮らそうね」


「うん」


「リンはずっとひとりぼっちだったの。ずっと寂しかったの。ずっとずっと由奈ちゃんが来てくれるのを待ってたんだからね‥‥」


ゆっくりになっていく
臨一朗の言葉


「絶対に裏切ったりしないでね。リンを一人にしないでね‥‥」


臨一朗の声は
淡く
空に消えて

やがてあどけない唇から
安らかな寝息

その目尻から
一筋の涙が
零れ落ちた。

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